開かれた魔法

本は開かれている。時を超えて、国を超えて。自分の枠を超えてどこまでも行ける気がする。そんな本の魅力にとりつかれた女子の書評ブログ。

2019-01-01から1年間の記事一覧

くまちゃん

いつ失恋しても心が折れないように、この小説を選んだ。図書館の一角で角田光代著『くまちゃん』のあとがきを読んだとき、こんな小説を求めていたことに気がついた。「ふられることがいいことだとは思わないけれど、でも、旅を一回するようなことくらいのよ…

秘密の花園

大人の言うことが常に正しい訳ではないと悟ったのは中学のときだった。親、学校の先生、ニュースキャスター。そういう正しいことを教えてくれそうな人達だって間違えることがあるという事実に、私は少し悲しい気持ちになった。だが成人式を迎える頃には、「…

みかづき

東京には空がないと智恵子は言う。高村光太郎の智恵子抄の有名な一節である。確かに人工の光が散乱する都会の空に星は一つも見えない。でも私達には月がある。会社帰りにふと見上げた空に月があると、わけもなくほっとする。頑張っていれば誰かが見ていてく…

【自作詩】誰のおかげ

「誰のおかげ」冷蔵庫を開いて野菜が入っているのは、今朝の私が買い出しに行ったから。綺麗な食器でご飯を食べられるのは、昨日の私が食器を洗ったから。ありがとう、私。実家のベッドで気持ちよく眠れるのは、お母さんがシーツを洗濯してくれたから。あり…

永遠の詩01 金子みすゞ

金子みすゞの詩は、何気ない日常の景色に命を吹き込む。風の音、星の瞬き、煙突からの煙。その一つ一つが命を宿し、生き生きと輝きだしたとき、なんて愛しい景色だろうと心の底から思えてくる。自分が気づかないだけで、本当は私を取り巻く環境は温かみに満…